アイカツ!のリミックスやmashupからインターネットミュージックを聴き出すためのガイドのようなもの
皆さん初めまして、DJ/音楽家のおわたにといいます。普段はアイカツ!シリーズの音楽とインターネットの音楽やJ-POPでDJ(https://www.mixcloud.com/OWTN/)をしたり、楽器を演奏したりしています。ブログなんて書くのは本当に数年ぶりですが宜しくお願いします。。
さて、このような記事を書くに至った経緯。先日発表になったアイカツアニON@新木場ageHa(a.k.a.STUDIO COAST)のメンツがそれはそれは凄まじく、アイカツ!云々関係なくただのageHaのいちイベントとして見ても豪華すぎると話題になりました。
🦋Artist一覧🦋
— アイカツアニON_JAPANTOUR (@aikatsu_anion) 2017年12月20日
2018.03.23#アイカツアニON ALL-MIX in ageHa
どこ行っても楽しめます‼️
ISLAND,WATER,BOXはアイカツ!楽曲以外も流れますが、
全DJ必ずアイカツ!楽曲も流しますので、
どんな楽しみ方が出来るかワクワクです😊😊😊#音楽と遭遇しようhttps://t.co/SH4iXPWJad pic.twitter.com/xcI2kB1FPF
やはりこの豪華ブッキングの背景にはリミックス(クラブでかけられるように音を組み替えていくこと。以下rmxと表記します)やmashup(ある曲とある曲を組み合わせ、別の楽曲を作り出すこと)等のブートレグ文化やネットレーベル的な音楽シーンの存在が欠かせないと見ています(そもそも公式の紹介にもインターネットミュージックって書いてあるし……)。けれど、普段秋葉原のアニONに来ているオーディエンスの中には、そのようなシーンについてあんまり詳しくないんすけど……という方が結構いらっしゃるのかもしれません。
実はそういう音楽はアイカツ!のrmxやmashupから簡単に入っていくことができます。インターネットミュージックシーンを形成する音やクリエイター陣はアニソンrmxと相通じる部分が多々あるからです。実際にわたしはアイカツ!のrmx/mashupを通じてインターネットの素晴らしい音楽たちに出会ってきました。同じような方法でインターネットミュージックに触れるためのガイドを、シーンの記録も兼ねて作ることが出来るのではないか。そんな風に考え、こうして筆を執っている次第です。
わたし自身まだまだ新参ですし、記述において足りない部分も多々あると思います。つたない文章ではございますが、一曲でもあなたの耳にひっかかることを祈って。
レコーディングの時に撮影させていただいたtofubeatsさん。ありがとうございます。。初めての男性モデル!! pic.twitter.com/kVJrTMNdo2
— 藤城リエ / りえ (@FujishiroRie) 2017年10月17日
言わずと知れたこのお方。AIKATSU☆STARS!のメンバーが歌唱で参加する「クラシカロイド」への楽曲提供でアイカツのフアンにも知られている……はず、ネットレーベル(彼の場合はMaltine Records)を出自に持つアーティストの中で最も知名度が高いのではないでしょうか。「水星」や「朝ダン」などの代表曲もございますが、今回アイカツ!のmashupという観点からご紹介したいのが「STAKEHOLDER」です。
2015年にリリースされた、futurebass由来のゆったりとしたトラックが心地よい一曲。この楽曲でアイカツ!といえば……
Akalyxさんによる「episode Solo」とのmashup、その名も「episodeholder」。Akalyxさんはアイカツ!×tofubeatsのナイスなmashupを数多く投稿していらっしゃいますが、その中でもこれは奇跡的な合いっぷりですね……ちゃんとtofu氏もメンバーとして名を連ねている(?)のがニクい。このmashupは昨年のアイカツアニONリミックスデー(16.11.2)でもBatsuさんによってプレイされていました。
これ以外にもアイカツ!×tofubeatsのmashupは沢山あって、
Tacumilleさんによる「Trap of love」×「her favorite feat.okadada」
tofubeats氏と同じく神戸在住のHIMAGOさんによる「Trap of love」×「OPEN YOUR HEART」
youtu.be(UNITワンマンマジで最高でした……アイカツ!フェス☆と同日だったので濃厚な一日だった)
アイマス関連でも素晴らしいmashupを制作していらっしゃるtentikaさんによる「episode Solo」×「Don't Stop The Music」
などなど、紹介しだすときりがないのでこの辺にしますがどれも良い組み合わせばかりです。
(別名義・dj newtownの代表曲「2005」をmonolith slipがeditしたものと「Trap of love」のmashupもハチャメチャに良いんだけどネットだとYouTubeでしか聴けない……)
2.Carpainter
当レーベル所属のアーティスト「Carpainter」が共同で作編曲した「三浦大知 - EXCITE」が 「第59回 日本レコード大賞 優秀作品賞」に選出されまして、先日授与式のほうに出席致しました。
— TREKKIE TRAX (@TREKKIETRAX) 2017年12月21日
共同で制作した岡嶋かなたさん、UTAさん、そして三浦大知さんにも大きな感謝を! pic.twitter.com/dsNnT1PVil
「仮面ライダーエグゼイド」主題歌に起用された三浦大知さんの「EXCITE」に作編曲で携わり、同楽曲がオリコン1位やレコ大の優秀作品賞まで獲ったことで話題になったトラックメイカー。ネットレーベル・TREKKIE TRAXの創始者の一人であり、国内外の多数レーベルからリリース経験のある彼ですが、先述したMaltine RecordsからリリースされたEP(http://maltinerecords.cs8.biz/117.html)収録曲「Fancy Night Step」は、アイカツアニONの数々の公演にご出演なさってきたBatsuさん(彼もTREKKIEからのリリースを経験しています)、またネットレーベルと同人シーンに造詣の深いjunkMAさんのお二人によってTrap of loveとのmashupがそれぞれ制作されています。(残念ながらどちらのバージョンもsoundcloudでは見当たらないのですが……)
ハネたビートとふんわりした上モノが特徴的なこの楽曲、2step/garageにfutureな要素が加わり心地よい感じですね。名曲。
ちなみに同楽曲を半音二つ上げて「episode Solo」のヴォーカルを乗っけるというmashupをわたしも制作しています。
またCarpainter×アイカツ!は他にも、
秋葉原MOGRA「ANISON MATRIX!!」でレギュラーを務めるOblongarさんによる「KIRA☆Power」×「eureka」
Akalyxさんによる「薄紅デイトリッパー」×三浦大知さん「EXCITE」
など、これまた数々の名mashupが存在します。
3.Pa's Lam System
京成スカイライナーのCMに抜擢されたり、こちらも更なる飛躍が期待される神奈川発の三人組トラックメイクチーム。最近インターネット周辺のアーティストのCM起用が相次いでいて嬉しいです。
Maltine Recordsからリリースされた「I'm Coming」、メジャーデビュー(!)シングル「TWISTSTEP」とアンセムを連発し、今夏には両楽曲を収録した待望の1st Album「Whatever」をリリース。これマジで最高。
jersey clubやfuturebass、ドラムンベースなど、アニソンrmxでもよく聴かれる要素をごった煮にしつつポップに仕上げたそのサウンドはまさにインターネット。ハマる人は一発でハマるはず!そんな彼らの代表曲「TWISTSTEP」、先日のアイカツアニON京都編ご出演のtakashimaさんによる「START DASH SENSATION」とのアンセムすぎるmashupが発表されています。
また、mashupコンピレーションシリーズ「Wonder Toybox」を主宰するnanasi765さんによって制作された「サマー☆マジック」と「I'm Coming」のPandaBoYさん(「Kira・pata・shining」作編曲)によるrmxとのmashupや、
updyさんによる「Trap of love」×「color」なんて組み合わせもありますね。どれも良!
4.HyperJuice
後半、25:00ごろ~のTWISTSTEP三連発がマジで最高 。今度のageHaもメインでこれやればいいんじゃないかな
今回のageHaのラインナップの中でいちばん驚いたのがこのHyperJuiceからharaさんのご登場でした。2013年結成、fazerockさんとharaさんからなる二人組重低音サウンドチーム。fazerockさんはmaonbass名義での数々のアニソンrmxの発表やDJイベント出演、アニメ「ROBOTICS;NOTES」のサントラrmx(これ公式仕事ですよ)などで知られていたのでもしかして来るかなーと思っていたんですが、完全に予想の斜め上でしたね……。まあharaさんもelemogのレギュラーでmograにはちょくちょくご出演なさっているのですが。
彼らについてはまずは代表曲「City Lights」を収録したアルバム「Lights」がとにかく最高なので是非買ってみてください。2stepなセルフrmx、先程のPa's Lam Systemによるrmxなども収録された充実の一枚になっています。
上のアルバムの中から、Jinmenusagiをfeatした「G.I.R.L.」のBROKEN HAZE氏によるrmxと「サマー☆マジック」をmashupした音源をガンギマリ女児チーム(みくるサマーのラウンジでDJしたりtwitchで配信イベントやったりしてる妙なアイコンの方々です)のitomaさんが作っていらっしゃいました。
にしてもharaさんどんなDJをなさるのだろう……気になる……普通にFlava D(UKの女流bass musicプロデューサー。haraさんとは彼女の来日時にdommuneで共演している)とか流れるのかもな。
ちなみにこれはわたしがHIMAGOさんに頼んで作って頂いた「prism spiral」とFlava D「Jill Scott」のmashupです。良いUKgarageです。HyperJuice関係ないけど……
5.Lolica Tonica
TREKKIE TRAXからのデビュー作にして2015年のインターネットのヒット曲「Make me Feel」、そしてMaltine Recordsからの今年最大のヒットだと勝手に思っているfuture garageナンバー「Eyes on you」で完全にインターネットミュージックのヒットメーカーたる存在感を放つ二人組。と思ったら活動を休止されていることをこの記事の執筆にあたって知りました。なんと。。メンバーのヒイラギペイジさんはラッパーとしてマイクを握っていたころから存じ上げていたのでまさかこんなところでまたお名前を聞くことになるとは思いませんでした。
彼らの楽曲とアイカツ!楽曲とのmashupも勿論存在し、
osirasekita氏による「KIRA☆Power」×「Make me Feel」や
ch!uさんによる「Miracle Force Magic」×「Eyes on you」
そしてhugkissさんによる「スタートライン!」×「Eyes on you」(こちらは残念ながらsoundcloud等には未発表)など、揃いも揃ってナイスmashupばかりですね。。
CarpainterやLolica Tonicaのようなgarage的なリズムはここ最近アニソンrmxにも浸透してきていて、
先ほどもご紹介したtakashimaさんによる「スタートライン!」のrmx
KxIxNさんによる「ハローハロー」のedit
などなど、皆さんいい感じの楽曲を制作されています。こちらも是非ご一聴を。
6.Yunomi
最後にご紹介するのが、今回のageHaにもご出演の札幌出身のトラックメイカー・Yunomiさんです。EDMやベースミュージックを基調にしつつ"和"なメロディ・サウンドメイクを特徴とし、同じくageHaご出演のYUC'e(ゆーしえ)さんなどと共にkawaii系futurebassのムーヴメントを牽引するこの方。KONAMI「ひなビタ♪」への楽曲提供や花澤香菜さんをはじめとしたrmx制作でお名前を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
そんなYunomiさんとアイカツ!といえば(?)、紹介しておかなければならないのが二年前の今日(2015.12.25)Maltine Recordsからリリースされた「枕元にゴースト」でしょう。
「Kira・pata・shining」「Bon Bon Voyage!」などの超アンセミックなアイカツ!rmxで知られる韓国の天才・Aiobahn氏との共作で発表されたこの楽曲、Maltineで表記されているジャンル(?)名はなんと「Not Odayaka Ghost」!細かすぎるネタ仕込みに脱帽です。
soundcloud.com 4.19のアニONリミックスデーでmeloさんが「キラパタ→輝きのエチュード」のAiobahnさん二連発とかいう最高のやつをやっていて見事にやられた……
さて、ここまで何回か出てきた「futurebass」というスタイル、先ほどのgarage同様アイカツ!rmxでもよく見られ、どれも良いのでいくつかご紹介したいと思います。
まずは多くのアイカツ!rmxで名を馳せるOCTOFRAMEさんによる「チュチュ・バレリーナ」
2017.4.19のアイカツ!アニONリミックスデーにもご出演のhugkissさんによる「サマー☆マジック」×in the blue shirt「Seven Bridge (Tomggg remix)」
(バイブス 約23秒)
先程もご紹介したch!uさんによる「きらめきメッセンジャー」×Cola Splash「Tacosu Gorilla」
いや~rmx/mashupって本当にいいものですね。まだまだご紹介したいのですが一旦この辺で……
さて、そんな感じで6組のアーティストを紹介してきました。紹介と言いながら脱線しまくった感は否めませんが……とにかく、わたしから伝えたいのは、rmxもmashupも、mashupされた側のクラブミュージックもどれも素晴らしく、こんな風に「アイカツ!から色んな場所に行ける」という可能性がある(ブログタイトルもここから来ています)ことはとても楽しいということです。そして、それこそが「音楽と遭遇する」ということなのだと思います。
この記事を読んで下さっているあなたにとっての何かのきっかけになることを願って。
最後に、今回ご紹介させて頂きましたアーティストの皆様、トラックメイカー/DJの皆様に深く敬意を表し、いつも楽しませて頂いていることに厚く御礼を申し上げます。皆様のご活躍と作品のお陰でこのような記事が出来ました。本当にありがとうございます。
2017.12.25 おわたに