J-POP Xfile ~これまで見つけた"踊れる"J-POPについて書いてみる

あけましておめでとうございます、おわたにです。とうとう2020年代という新たなディケイドに突入しましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は以前から書こう書こうと思いつつなかなか手が出せなかったテーマである「踊れるJ-POP」について書いてみたいと思います。手が出せなかったというのは単純に自分の気分の問題とか自信を持って書けるほどしっかりとDIGをしているのかといった部分とか、まあいろいろあったのですが、先日急に「そろそろ書いてみてもいいのかもな」という心持ちになってきましたため、やってみることにしました。

もう今でこそあまり見かけなくなりましたが、特にゼロ年代のJ-POPのシングルには3~4曲目あたりに表題曲のRemixが収録されていることがしばしば見かけられ、国内/海外問わず多くのプロデューサーたちが素晴らしいRemixを残してきました。しかし、そういった情報はなかなか残りづらく、筆者自身ブックオフや誰かのツイートなどで知ることが殆どでした。是非このブログをきっかけに、まだ見ぬ名曲との出会いが一つでもあれば嬉しい限りです。
で、今回は「踊れるJ-POP」を「DJユースなJ-POP原曲」と「J-POPのブートではないRemix」の二種類として、それらを織り交ぜながら全6曲を紹介していきたいと思います。基本的にはレア盤に該当するものは紹介せず(というかそもそも知らない)、中古や配信などでも比較的手に入りやすい楽曲を選んでいる……はずです。手に入りやすさや販路についても個別の楽曲紹介で触れてまいりますので、ブックオフディスクユニオンに出向く際の参考にしていただければと思います。
それでは、最後までどうぞよろしくお願いいたします!

 

YUKI「JOY -Eric Kupper Club Mix-」

まずはこれでしょう。2005年リリース、ex.JUDY AND MARYという前置きすら不要なほどのビッグネームとなったYUKIの9枚目のシングル。3rdアルバム「joy」の先行シングルであるこの楽曲は、「関ジャム 完全燃SHOW」へのゲスト出演や「アイカツスターズ!」への曲提供でもお馴染みの蔦谷好位置のペンによるもので、蔦谷氏にとってもプロデューサーとしての転機となった楽曲でした。

で、そもそもが素晴らしいこの楽曲を極上のディープハウスに仕上げたのが、USディープハウスの重鎮・Eric Kupper。氏はハウスミュージックの祖として名高いFrankie Knucklesと長年に渡り活動を共にし、制作面でのサポートを行ってきました。その中で1992年にFrankie Knucklesと共同制作した「Whistle Song」が世界中でビッグヒットを記録し、その後多くのアーティストの楽曲制作やRemixに携わることになります。

揺れのかかったエレピが終始引っ張っていくトラックにYUKIのヴォーカルが映えるこの楽曲は、J-POPのRemixとしてはトップクラスにクラブヒットした楽曲の一つといっても過言ではないはずです。というのも、この「JOY」のシングル盤3曲目に収録されているEric KupperのRemixと2曲目に収録されているMunityによるRemixがNYの名門ハウスレーベルKing Streetからアナログでリリースされ、多くのDJがプレイするということが起きたのでした。SwingroovesのClothed Music氏もその影響をこう語る。

というほどで、実際筆者もここぞという時にかけたくなる、シンプルなハウスだからこその魅力がこの楽曲には詰まっています。

先ほども書きましたがこの「JOY -Eric Kupper Club Mix-」はJOYのシングル盤(レコファンブックオフで100円で買える。というか買った)に収録されていて、比較的入手は容易……なはずです。また配信でもmoraレコチョクなど各サービスで購入することが可能になっています。ハウスなんだけどポップスな楽曲をお探しのDJは必聴!

 

w-inds.「THE SYSTEM OF ALIVE」

続いての楽曲は先程の「J-POPのブートではないRemix」から打って変わって「DJユースなJ-POP原曲」ということで、3人組ダンス&ヴォーカルユニット・w-inds.の2002年にリリースされた2ndアルバムから、その表題曲を取り上げてみたいと思います。

w-inds.は2000年から活動を開始し、現在に至るまで大きな活動休止やメンバーの脱退などは特になく活動をコンスタントに継続している実は結構珍しいグループなのですが、2017年の「We Don't Need To Anymore」など、ヴォーカル・橘慶太のセルフプロデュースによるハイクオリティな楽曲とパフォーマンスで近年では音楽好きからも熱い注目を集めていることは記憶に新しいと思います。しかしこの流れは決して近年だけの話ではなく、彼らは"J-POPの文脈の中でR&Bやダンスミュージックを基調としたサウンドを展開する"という軸をデビュー当初からその中心に据えていました。そして、今回ご紹介するこの「THE SYSTEM OF ALIVE」は、まさにその軸が非常に美しい形で結実した楽曲の一つだと筆者は考えています。

この楽曲のサウンドは一聴すればわかる通りUKガラージ――特に2stepど真ん中なわけですが、まずは日本での2stepについて簡単におさらいしたいと思います。2stepの母体というべきUKガラージは90年代末にクラブシーンに登場し、2000年にはヒット曲が多数出てくる一方でそれ以降はグライムやダブステップへと発展する中でUKガラージ自体は一旦下火に……という風になっていったわけですが(かなりざっくりなので怒らないでください)、あくまでこれは海外での流れで、日本においてはテイ・トウワMONDO GROSSOこと大沢伸一(氏は2stepコンピの選曲・監修を手掛けたこともありました)、m-floの☆Taku Takahashiといったアーティストたちがそのサウンドを積極的に取り入れ、2000年から2003年ごろのJ-POPのヒット曲にはしばしば2stepが見られる……なんてことが起こるようになりました。最近だとm-flo「come again」が平成の名曲特集みたいな番組で取り上げられたり、大沢伸一によるMONDO GROSSOの最大のヒット曲である「LIFE feat. bird」がリリースから19年を経て再びANAのCM曲として起用されたり(一応LIFE自体は2stepではないのですがシングル盤の4曲目に2stepなRemixが収録されておりこちらも最高です。あと2000年のリリース当初もANAのCMソングでした)といった感じで、UKガラージの再評価の機運なども手伝って今でも当時のサウンドを耳にすることがあるのではないかと思います(本当にざっくりなので本当にすみませんとしか言いようがないのですが)。

ちょっと前置きが長すぎましたが、「THE SYSTEM OF ALIVE」の話に戻ります。最初に書いた通りこの楽曲が収録された同名のアルバムは2002年リリースで、やはり先ほど書いた日本における2stepの流行とシンクロしています(一応これ以外の収録曲には2step要素は全然ないのですが)。作編曲はこのアルバムで約半数の楽曲を書かれたHiroaki Hayama氏が手掛けており、これはあくまで筆者の見立てというかほぼ邪推ですが、「アルバムの表題曲」というシングル曲ほどではないものの少し重要なポジションにこの楽曲が当てられていることについて、「2stepが国内で徐々に浸透しつつあるこの段階」だからこその配置なのではないかとどうしても考えてしまいますね。実際後発なだけあって、完成度の高いなかなかナイスな2stepサウンドをJ-POPに落とし込んでいる佳曲と言えるでしょう。J-POP×2stepな良い曲をお探しなDJは必聴です。筆者もついついかけてしまう一曲。

入手に関してはOTOTOYロスレス販売があったりmoraレコチョクでも取り扱いがあるほか、なんとこちらはAmazonのPrime Musicでも聴けますCD盤もおそらくかなりの数が中古で出ているはずですが悪名高いCCCDなんで気にする人は気を付けてください。

 

唐沢美帆「Refrain」

先程のw-inds.に引き続き、こちらの楽曲もDJユースなJ-POP原曲、それも2stepを連続してのご紹介です。近年ではTRUE名義で「響け!ユーフォニアム」や「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」などのアニソンを歌唱している唐沢美帆の、2004年にリリースされた2ndアルバム「ID.」からのナンバー。元々彼女はMISIA「つつみ込むように…」の作詞作曲を手掛けた島野聡のプロデュースにより2000年にデビューし(TRUE名義での活動は2014年〜)、やはり彼女もR&Bを基調とした音楽性を展開していました。唐沢美帆名義で残したオリジナルアルバムは2枚と少なめなのですが、シングル盤に収録のRemixにはあのKAGAMIを招聘していたりとダンスミュージック・オリエンテッドな面も随所に見せていたアーティストだったのでした。

先ほど日本での2stepを取り入れたアーティストとしてテイ・トウワの名前をあげましたが、何を隠そうこの「Refrain」のアレンジメントを手掛けたのがテイ・トウワその人であり(作曲は島野聡)、実はこの「ID.」は豪華な作家陣を招いているアルバムだったりもします。2stepではないですがアルバム後半に収録されているディープハウスナンバー「2AM」は作詞が菊地成孔で作編曲はテイ・トウワという力の入れようで、筆者はtofubeats資生堂のwebラジオ・花椿アワーで「2AM」をかけているのを聴いてぶっ飛んだのがこのアルバムを知ったきっかけであったりします。「ID.」は基本的にはR&Bのアルバムなのですが、こうしたハウスや2stepがいい感じに散りばめられているなかなかの名盤でありますので知らなかったという各位は是非チェックしてみるといいのではないでしょうか。

販路についてはこちらもレコチョクmoraで配信の取り扱いありますね。CD盤は廃盤になっているうえ中古でもあまり見かけないので根気が必要になってくる感じです……ちなみに「2AM」は先日リリースされたテイ・トウワの外仕事コンパイルアルバム「Arbeit」にも収録。宇多田ヒカル「First Love」を手掛けたGoh Hotoda氏のマスタリングによる盤なので音に関してはかなり期待できそうですね。tofubeats「水星」もリマスター収録されているようで気になっています。

 

東京スカパラダイスオーケストラ「美しく燃える森 (FPM Bootleg House Mix)」

sp-m.mu-mo.net

続いては「J-POPのブートではないRemix」……ではなく、「J-POPの公式ブートリミックス」というちょっとねじれた立ち位置の一曲をご紹介します。奥田民生のヴォーカルによる言わずと知れたスカパラの大大大名曲ですね。そして、先に謝っておきますがその名曲具合とは裏腹に本記事の中でトップクラスに入手がめんどくさい音源です。最初に張り付けてあるリンクがミュウモという時点でお察しになった鋭い読者の方もいらっしゃったかもしれませんが……すみません!とはいえメチャクチャDJにとっては重宝する一曲なので、ぜひ紹介させてください。

「美しく燃える森」は2002年2月にシングルリリースされ、今でこそスカパラの代名詞となった「外部からヴォーカリストを招き、自分たちの楽曲にフィーチャーする」歌モノですが、このシングルはその最初のチャレンジとして制作された"歌モノ三部作"の第三弾という位置づけでした。その前の二枚ではORIGINAL LOVE田島貴男、当時THEE MICHELLE GUN ELEPHANT在籍中のチバユウスケを招聘するという凄まじい人選を見せつけていたわけですが(そしていずれも名曲!)、これらの3曲を含むアルバム「Stompin' On DOWN BEAT ALLEY」は初のオリコン一位を獲得するなど、この「美しく燃える森」とその前後のアルバム・シングルはスカパラの歩みの中でも特に重要な時期となったわけです。

で、同じく2002年には「美しく燃える森」のFPM(Fantastic Plastic Machine)によるRemixが制作され、アナログレコードでも発売されたわけですが……ここからがこの楽曲のめんどくさい部分。まず、美しく燃える森のFPMによるRemixは二種類が存在し、BPM早めのラテンなリズムを前面に押し出した「~ (FPM Latin Fire Remix)」と、原曲の良さを活かしたままハウスビートに乗せたこの「~ (FPM Bootleg House Mix)」が制作されまして、アナログレコードにもこの二曲が収録されていました。が、このRemix、そもそもデジタルでの入手がほぼ不可能なんです。レコチョクやmoraは両方とも取り扱いなし、Google Play MusicにはBootleg House Mixが一応あるにはあるのですが、FPMによるミックス盤からの配信でフルの尺ではない形になってしまっています。そしてここからが恐ろしいことに、CD盤にミックス等ではない形で収録されている(ことが確認できる)Remixは、Latin Fire RemixがFPMの外仕事ベストアルバム「Motions」に収録されている(ことが確認できる)のみです。一応この時期のPVを収めたDVD「DOWN BEAT SELECTOR」に特典としてRemix音源収録のボーナスCDが付属と銘打ってはいるのですが、恐ろしいことにどのRemixなのかはwebには明記されておらず(発売元のavexのページにすら。ですよ)、discogsで見る以外Bootleg House Mixの収録されているCDについての情報収集が不可能という、嗚呼なんとめんどくさいことか!!!!!という状態になってしまっているのです。勿論「DOWN BEAT SELECTOR」にはどちらも収録されていますので、ご安心を。ただし中古はブックオフなどで見たことは今のところ一回しかありません。(実はこの記事をリリースすることにした当日にふらっと立ち寄った辻堂のブックオフで500円で見かけるという何とも言えないミラクルに遭遇しました……それまでは本当にゼロだったんです!)

ほぼ愚痴になってしまいましたが、肝心な入手について……実は筆者は先に張り付けてあるミュウモでこの音源を入手したわけではなく、普通に中古のCCCD盤をamazonで購入しているので(そしてそもそもミュウモなんて使ったこともないので)、ミュウモで購入する方は自己責任でお願いします。買えなくても筆者は責任が取れません……

と、ここまで入手の大変さについてひたすら書いてしまったのですが、何度も書くようですが「美しく燃える森 (FPM Bootleg House Mix)」、超アンセミックな日本語歌モノハウスとしては最高峰と言って良いほどぶち上がれること間違いなしのキラーチューンです。入手の大変さを加味しても間違いなくおすすめできる一曲ですので、収録されている「DOWN BEAT SELECTOR」ぜひぜひお探しになってみてはいかがでしょうか。ここまで書いたのでどれを探せばいいかとかわかりやすくなってると思いますので……本当に……はい…………

 

SMAP「ダイナマイト (MJ COLE REMIX)」

hearthis.at

……はい。とうとう試聴の貼り付けが配信サイトですらなくなってしまいました。それもそのはず、次にご紹介するこの「ダイナマイト (MJ COLE REMIX)」は本当に配信がされていない(少なくとも筆者は確認できませんでした)楽曲だからです。とはいえ、先にご紹介した「美しく燃える森」ほど入手がめんどくさいというわけでは、実はありません。理由はちゃんと後述します。

一応この試聴で載せているのは筆者がDJ練習会の時にプレイしたMIXの録音で、3曲目(4:00ごろ~)に「ダイナマイト (MJ COLE REMIX)」をプレイしています。そのほかに選曲しているのもどれも良い曲ばかりなので、ぜひ聴いてみてくださいね……という宣伝はさておき楽曲自体の話なのですが、このとんでもないRemixは2005年夏にリリースされたSMAPの16枚目のアルバム「SAMPLE BANG!」、その2枚目の既発曲のRemixを収録したディスク「KAIZOKU BANG!」2曲目に収録されているトラックです。ちなみに全部で3枚あり、あと一枚のタイトルは「HIGH BANG!」(こちらはメンバーのソロ楽曲を収録)という、ディスクの数も言葉遊びも徹底して規格外なアルバムになっています。

SMAPと言えば昔から海外の超一流ミュージシャンをレコーディングに招いたり、最近のリリースでも中田ヤスタカ相対性理論に曲を書かせたり赤い公園津野米咲を作詞曲に招いてその編曲を菅野よう子が行ったかと思えばそのシングルのカップリングでは凛として時雨のTKを呼んであまりにも"そのもの"な楽曲(こちらの編曲は元電気グルーヴCMJK)を書かせたりととんでもない人選で音楽ファンを震え上がらせるトップアイドルという恐ろしい一面を持っていたわけですが、それはRemixにおいても決して例外ではなく、このアルバムより後年でもtofubeats椎名林檎のペンによる「華麗なる逆襲」をRemixしており、やはりカッティングエッジです。

この「ダイナマイト」自体はJ-POP史に残る至高のハウスチューンであるFolder「パラシューター」を手掛けた小森田実(コモリタミノルとも表記されます)による名曲であり、この二曲はどちらも97年リリースで四つ打ちという切っても切れない関係性にあります。そしてこの名曲を大胆にRemixしたのが、2stepブームの中心人物・MJ Coleです。その大胆さたるや、少なくとも筆者の耳には使われている原曲の素材は声のみ、尺で言えばおそらく全部合わせても30秒未満に聞こえ、それでもあまりにもカッコいいので全部ヨシ!という、最高のガラージに仕上がっています。ここまで自分の色に染め上げるMJ ColeもMJ Coleですけど、それをそのままリリースするSMAPサイドもSMAPサイドですよ。ものすごい勇気というか、自信というか、色んなものを感じます。筆者は本当にこの曲好きすぎてことあるごとにDJでかけてしまいます、というか一生かけるんだと思います……その位好きです。もうここまで書いといてなんですが、何を言っても野暮なのでとりあえず聴いていただきたいです。是非。

(ちなみにこのRemix盤には4曲が収録されており、この「ダイナマイト」の次はまさかのBOOM BOOM SATELLITESによる「SHAKE」という……もう本当に、凄すぎます。こちらも是非聴いていただきたい。)

で、入手についてなのですが、先ほども書いた通りこのRemix盤は配信がされておらずを買うほかありません。しかしそこは流石の国民的グループ、ブックオフに行けばかなりの確率で盤質のよい個体を目にすることができます。運が良ければ500円でも手に入りますし、なんならアルバム本編の盤質はボロボロだけどRemixの方は手がついていないのか美品という100円のものもハードオフで見たことがあります。是非運試し感覚で探されてみてはいかがでしょうか。

 

RIP SLYME「楽園ベイベー -STUDIO APARTMENT Remix-」

早いものでもう6曲目、最後を飾って頂くのはJ-POP屈指の夏の名曲の一つ、楽園ベイベーのSTUDIO APARTMENTによるRemixです。

楽園ベイベーは2002年に発売されたRIP SLYMEの5枚目のシングル。このRemixは2008年にテレビ朝日の音楽番組「VERSUS」内で制作/配信リリースされ(ジャケット画像にも番組のマークが入っています)、その後2015年のシングル「ピース/この道を行こう/ナイショデオネガイシマス」(最初に張り付けてあるSpotifyはそれです)に収録され、CD盤でも入手が可能になりました。

Remixを手掛けたのは花澤香菜さん「ほほ笑みモード」を手掛けたことでもおなじみ、日本のハウスシーンを牽引する2人組ハウスユニット・STUDIO APARTMENTで、ゆったりチルアウトな原曲から彼らの個性が出まくったアッパーなハウスに様変わりしています。彼らはゼロ年代に流行した「乙女ハウス」(ざっくり言うとラテンハウス/ソウルフルハウス/クラブジャズ/ディープハウス辺りを混ぜて歌モノポップス風味を足した感じ……わかってる人に絶対に怒られたくない!)のムーヴメントの最中にいたアーティストでしたが、その彼らがこういったヒップホップを出自に持つアーティストのRemixを手掛けるというのはなかなか興味深い事例に見えますし、その一方で歌モノ要素強めのハウスを得意とするスタアパにとって「楽園ベイベー」という楽曲はこれ以上ないくらい魅力的な素材であったことが容易に推測できます。夏という季節とハウスミュージックは相性がいいので……例えばMONDO GROSSO「LIFE feat. bird」とか、SMAP「BANG! BANG! バカンス」(この曲も小森田実によるものです)とか、アイカツ!フォトonステージ!!「GLAMOUROUS BLUE」とか。音楽と季節についてはそれだけで一生考え続けられそうなテーマですが、このRemixはそういう意味でも示唆に富んでいる気がしますね。

少し脱線しましたが、販路についてしっかり書いておきましょう。CDでのリリースについては先述した通りですが、配信は番組でのリリースがされたものと冒頭で提示したCDと同内容のものが混在しており、ちょっと迷う感じになってますが筆者はというと普通に新品でCD盤買ってしまったので両方の配信の音の違いとかに関しては分かりかねるんですよね……すみません。どなたか聴き比べを行った方がいらっしゃいましたら是非どんな感じか教えてください。

 

 

……とまあなんとも締まらない感じになってしまいましたが、全6曲の紹介を終えたいと思います。長々とした文章ですがここまでお読みいただきありがとうございました。

これ以外にも、知り合いが見つけた某サンバの某大物によるRemixとか(実は正式にお誘いして寄稿してもらおうか迷ったりしました)、マツコ・デラックスが大好きな某曲のRemixとか、いろいろ書きたい曲はないわけではないので、今後第二弾だったりやってみてもいいかなあとは思っています。まあそれよりも続きをちゃんと書けるように、まずは何よりも筆者自身これからもdigをしっかりやっていかねばなと今回の記事執筆を通じて気を引き締め直すばかりです。

最後にいつもの通りではございますが、誤字・脱字・情報ミスやリンクミス、ここの記述が足りてねえんだよバカ!などのご指摘などございましたらTwitter(@o_w_t_n)までどうぞ。今回名前を出させて頂いたすべてのアーティストの皆様に多大なる敬意を表して、またすべての楽曲に愛を込めて、この記事の〆とさせて頂きます。お疲れ様でした!